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UDON



 うどんといえば讃岐。讃岐といえばたぬき。たぬきといえばうどん。
だから今夜もうどんだったんだ。
防腐剤は使用しておりません。

 うどんを食べたくなる瞬間について考えてみました。
これだけポピュラーな存在にあって、なかなかうどんというやつは難しい。
一方で「腹持ちがいい」と、コンビニが溢れた現代にあってあまり説得力のない言葉も聞くが、客人をもてなす料理には不向きだし、受験生の夜食にも向かない。

 なぜ客人に出せないのか。
それは日本が恥の文化であることと深く関わっているのだと思う。
いや、思わない。
単純に、地味すぎるからであろう。
白地に葱や生姜や海苔がのんびりとたたずんでいる。
ではお父さんの給料日だからと天ぷらを奮発すると、淡白なうどんの味はかき消されて、今晩は天ぷらとつるつるした何かを食べたなあ、となってしまう。

 受験生の夜食に出しても問題だ。
慌ててちゅるちゅるする正男(高3)は、長い一本を噛まずに飲み込んだために胃の中と箸の先に絡まる一本のうどんによって内界と下界が繋がりさあ一度出すべきかそれともこのまま吸い込むべきか、これって教科書は教えてくれない現実じゃないか。しかもなんか涙が出てきたんだよお母さん。
 もう疑心暗鬼に陥る。

 カブにはお金をかけるが、うどんにはなかなかお金をかけない。
蕎麦打ちというと羨望の眼差しを向けられるが、うどん打ちというと妙に語呂が悪い。
「この蕎麦魔人!」と罵られても悔しくはないが、「やーい。うどんの子供~」なんて言われたら会社には行けない。

 
しかし、うどんは美しい。
純白の躯体に、艶やかな肌。
そしてなによりも、うどんは腹持ちがいい。
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by Your_sea | 2006-08-24 19:29

太陽光を便器にかえる




そんなソーラーパネルがあってもいいのではないかと思う日付変更線上のアリアです。
バッハの「G線上のアリア」はビールに合うんじゃないかと、今思いました。
この曲はバッハが亡くなって百年近く経ってから編曲され、世に浸透していくのでした。


こちらで聞く事ができます。


通して聞いてみるとビールじゃなくてワインかな、なんて思ったり思わなかったり。




さて。こんな時間に餃子です。
餃子に関しては100人いれば102通りくらい作り方が違うもので、
それぞれこだわりがあるものですね。

・餃子を包むとき、ひだひだをつけるか、否か。

・最初に焼き色がつくまで炒めるか、否か。

・炒めるとしたら胡麻油かサラダ油か。

・注ぐのは熱湯か冷水か。

・仕上げに胡麻油を投入するか、否か。

・ここは田舎か否か。

 そんなところでしょうか。
わたしは極めてオーソドックスに作ります。
まずはアンパンマン色になるまで下部に火を通し、熱湯を注ぎます(餃子の1/4くらい)。
蒸して蒸して蒸しパンマンにしたら(蒸しが甘いとトレパンマンになります)、
胡麻油を注いで水気を飛ばします。
具材もオーソドックスですが、海老を叩いて加え、野菜はやや多めにします。

 あとはお酢を中心にしたタレにつけて召し上がります。



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 夜間の餃子は背徳的な美味しさです。
そのカロリーと翌朝に残るであろう香り。
あなたも今夜は餃子と心中してみてはいかがですか?
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by Your_sea | 2006-08-11 00:17

ストーリーレシピ1 海鮮チャーハン



 同期のエミが結婚することになった。まず8月にプーケットに新婚旅行に行って、その後に簡単な結婚式を挙げるのだという。
仕事中に電話がかかってきて、帰りに寄れないかと誘いを受けた。
彼女のマンションは帰り道にあるから問題はないのだけど、どこか違和感があった。
その違和感はなんなのだろうと考えてみたが、やはりエミが結婚するからなのだろうと思った。

 都心の夕焼けはどこか不気味だ。
闇が侵食して、巨大なビル群を飲み込んでいくような焦燥感にとらわれる。
彼女のマンションは永福町にある。駅前の商店街は穏やかで、赤い陽光のせいで新鮮とは思われない野菜たちも、どこか愛嬌がある。
タマネギと人参と、それからレタスを買った。ついでに魚屋にも立ち寄って、イカとタコを買う。
「あ。もしかしてそれって」
 エミは玄関を開けもせず、おそらくドアスコープ越しにくぐもった声で言った。
「買ってきたよ。どうせないんでしょ? 食材」
「ない」
「ていうかさ、ドア開けてよ」
「ああ。はいはい」
 何度か来たことのある部屋だが、いつもとは何かが異なっていた。
天井や壁に視線を這わせながら居間にたどり着くと、静かな音量でモーツァルトの交響曲第40番が流れていた。
「ねえ。どうしたのこの曲」
「はい?」
「いやだからさ。なぜにモーツァルト?」
「ふふふ。これはね、ジョージ・セルが指揮している67年くらいの録音だったかな?」
「そういうことでなくてさ。今までまるで聞かなかったのに」
 エミは手のひらをひらひらを振って、わざとらしくソファーを指差した。
結婚を控えた女はこうも変わるのだろうか。所詮相手の男がクラシックにうだうだと拘るような趣味を持っているのだろう。

 バリ島で買ったというエミにしては抜群にセンスの良い籐の棚は、やはり今日も美しかった。
ポプリがさりげなく乗せられていて、かすかにゼラニウムの香りがした。
彼女は赤いエプロンをして、すでに戦闘態勢といったいでたちだ。
「そろそろ作る?」と僕はあくびをかみ殺す。
「では手合わせ頼む」
「なににする?」
「チャーハン」
 チャーハン。彼女の結婚相手の誕生日に振舞われるであろうチャーハンを思い浮かべる。あまりにもお祝い事にふさわしくない滑稽なチャーハンというメニューに、僕は苦笑する。
「いいの? そんなんで」
「いいのいいの。だって美味しいチャーハンてなかなかできなくて」
 早速僕はキッチンに立って、「ビール」と注文する。
すぐに冷やしたグラスとギネスが差し出されて、黙っているとエミはやや眉毛を吊り上げてグラスに注いだ。
文句も言わずに人の命令に従うことは、滅多にない。
料理が終わったら、彼女の反撃が始まるに違いない。いや、そもそも料理に失敗したときの罵倒は凄まじいものになるだろう。少しだけ指が震えた。だから一気にギネスを飲み干した。
「あまり細かいことは抜きにするけどね。素人が家庭で上手にチャーハンをつくる秘訣だけ覚えてもらうよ」
「はい教官。あー緊張してきた。バッハに変えようかな」
「その必要はないと思うけどね」
「そうなんだ?」
「誰の影響?」
「彼」
「ふーん」
 ステンレスのボウルを取り出すと、適当にご飯をよそって卵をふたつ落とした。
それをエミにかき混ぜさせている間に、僕はタコとイカを切った。
「最初にご飯と卵を合わせる。これが秘訣なの?」
 彼女はかしゃかしゃと混ぜながら言う。
「そうそう。それだけでぱらぱらご飯は約束されるよ」
「そのさ、イカをさばくの面倒そう。でも彼ってイカ好きでさあ」
「ふーん」
「なんか不機嫌?」
「別に」
 ワケギを細かく切って、一口大になったイカとタコに豆板醤とチリパウダーを多めに混ぜた。


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「ちょっと淋しいんでしょ?」
「なにが」
「先にわたしが結婚しちゃって」
「なんで」
「ふふふ。まあいいや。おみやげ何が良い?」
 口の中で適度に崩れていく米の食感を楽しみながら、僕は考えた。
バッハは一日の最後には相応しいが、考え事をするには少々邪魔なものだと、初めて分かった。






1. イカとタコは細かく切っておく。
2. ご飯はボウルによそって、あらかじめ生卵と混ぜておく。フラクタルの原理は不要。
3. ねぎはみじん切りにして、しょう油、ごま油、こしょうと合わせておく。
 フライ返しを下に入れて大きく返す。強火でご飯を切るようにして、パラパラの状態になるまで、しっかり炒める。パラパラ踊っても良い。
4. フライパンを煙が出るくらいまで熱してもう火も出しちゃう。そしてサラダ油を広げる。イカとタコを炒める。
5. 合わせておいた3を加えてさらに炒める。ちなみに5-3は2。
6. 味をみて塩、こしょうをする。味は目で見ずに舌で感じる。

 美味しいができる。
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by Your_sea | 2006-08-03 23:50